この小説は「まいログTCG研究室」の二次創作になります。
Discord内のまいログチャンネルを基にしたネタが登場しますのでご注意ください。


ーーー歓声が聞こえる。

ーーー眩いばかりのスポットライトが目まぐるしく動き回る。


 

赤、青、黄色。

紫、橙、緑色。

一層大きくなるBGM。

 

ーーーステージにはすでに人が上がっている。

 

誰も彼もが皆、待ち望んでいる。

これから、数千もの人々が届きもしない私に手を伸ばす。

声を張り上げる。

私を。

私じゃない私を求めて。

なら、応えなきゃ。

私じゃなくなった私で。

 

ーーーデッキを手に取る。

 

彼らが求めているものはそれだけ。

いつものように、歌って、踊って、手を振りかざして、声に応えよう。

 

ーーースポットライトが降り注ぐ。

ーーー肌が熱い。

ーーー割れるような歓声が轟く。

 

でもそれだけ、たったそれだけ。

 

ーーー幕は上がった。

 

さあ、

 

 

 

 

 

 


いつものように、蹂躙しよう。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

客「相手のクリスタルウィングリリースしてサンダー•ザ•キング出しまーす。」

f:id:hadukimiu:20191004232955p:plain「えっ」
客「こっちジズキエル出しますね」

f:id:hadukimiu:20191004232949p:plain「ハイ」
客「カバーカーニバル発動して、トークン三体だします、シャイニングアブソーブでこっちの火力サンダーザキングの火力ぶんアップしまーす」

f:id:hadukimiu:20191004232955p:plain「い、いや…」
客「バトルフェイズ入りまーす、6300のジズキエルで攻撃、その後3300のカバ三体でワンショットです!」

f:id:hadukimiu:20191004232953p:plain

すぅ「いやーーーー!」

ピロロロロ、ピーッ!

f:id:hadukimiu:20191004232953p:plain「あ、あう…」

f:id:hadukimiu:20191004232920p:plain「おつかれさまですわ、すぅ、アブソーブなんて最近めっきり見かけなかったので驚きましたわ」


TCGまいろぐカフェ、カフェとしての飲食店の他、フリーデュエルをやってたりするんだけど…

 

f:id:hadukimiu:20191004232920p:plain「まあ、ここの人たちのレベルが高いだけあって、せっかく立てたクリスタルウィングもあっさり処理されちゃいましたわね。」
客「いや、よくやってると思いますよ?ちょっと相性が良くなかっただけでしょう」

f:id:hadukimiu:20191004232955p:plain「それで10000ダメージも受けてたら体もたないわよ…」
まい「せっかくだからダメージに応じて衣服が弾け飛ぶ仕様でも実装したらどうかな?すぅ」

f:id:hadukimiu:20191004232949p:plain「某忍者ゲーの真似なんかしなくて結構です!」


そもそも揺らすものすらないから!
あ、どうしよう、考えたら虚しくなってきた。

 

客「プレイングに関して磨いていくなら、やっぱこれじゃないですかね?」

f:id:hadukimiu:20191004232955p:plain「え?なんのこと?」
客「やだなぁ、まさか彼女のこと知らないわけでもないでしょう?」


スマホからよーちゅーぶで動画を選択するお客さん。
流れてくる動画に映っているのは大きなライブ会場と大勢の観客。


?「みんなー!おっまたせー!葉月美羽のLive☆Duel!はっじまるよー!」
大歓声に包まれる会場。

f:id:hadukimiu:20191004231051p:plain「あら、やっぱりこの子でしたのね、今話題ですものね」

f:id:hadukimiu:20191004232955p:plain「シフォン、この子のこと知ってるの?」

f:id:hadukimiu:20191004231051p:plain「すぅは、もう少し情報に敏感になるべきだと思うのだけど…。まぁ、説明してしまったほうが早いですわね。
葉月美羽。
今注目の女子小学生アイドルデュエリストですわ。」

f:id:hadukimiu:20191004233005p:plain「iD○L?」

f:id:hadukimiu:20191004232920p:plain「それは、ロボットが戦う方のアニメですわ、まい。」


え…アイドル…?アイドルってデュエルするものなの?
というより…小学生…!?

 

f:id:hadukimiu:20191004232920p:plain「簡単に言うと、デュエルをパフォーマンスとするアイドルと考えてもらって差し支えありませんわ」


ちょ、何言ってんの?こんな、アストラムにウーサ、妨害カードまで一ターンで用意するデュエリストのどこがアイドルよ!!?

パフォーマンスの定義が壊れるわ!

確かに可愛いけど!

 

f:id:hadukimiu:20191004231051p:plain「アイドルとは思えないほどの一ターンに用意する盤面のえげつなさ、入念に用意されたほぼ同じ盤面までつなぎこむ構築力、始めはみんな積み込みだと思っていたけど本当に自力であそこまでつなぎきっているとわかってからは人気がさらに爆発しましたわ。」

客「楽曲も確か人気でしたねー、ファーストシングルは『私の為に堕天して』、セカンドシングルは『誘発ないから大丈夫!』でどちらもオリコン1位に輝いてますし」

f:id:hadukimiu:20191004232953p:plain「何そのタイトル!?てかその盤面立てておいて、誘発持ってないから大丈夫は免罪符にならないよね!?」

 

そうこうしているうちに相手のライフポイントはあっという間に0になり、次の瞬間には大量の金紙が舞い上がる。その次には轟くような音楽が流れ始め可愛らしい振り付けで踊り始める。

 

f:id:hadukimiu:20191004232920p:plain「と、こんな感じで毎回チャレンジャーを募って対戦して、フルボッコにした上で堂々と某ピンク玉のように踊ると言う鬼畜の所業をなす小学生ですわ」

f:id:hadukimiu:20191004232955p:plain「それ、小学生がやることじゃないよね…?」
アイドルの世界怖っ!

f:id:hadukimiu:20191004231051p:plain「とは言え、すぅもこのくらいとは言わないけど、もう少しデュエルの腕を上げてもらいたいところですわね」

f:id:hadukimiu:20191004232955p:plain「目指すハードルが高すぎるよ…」

 

まいは先ほどの動画を見て何か考えてる様子。
次の売り出し方針でも考えてるのかな?
私もこのくらい戦えたらそりゃ良いだろうしこんだけアイドルとして人気になればいろいろ楽しいだろうけど。

 

?「すいませーん、あそこの遊戯王ファイルとりたいんですけど良いですかー?」

f:id:hadukimiu:20191004232946p:plain「あ、はーい」


ファイルを取りたがっていたのは背丈の小さい女の子。
フードをかぶっているけど、ボリュームの多い髪が左右から分かれてるのがわかる。
正直言って可愛い。
同じ女性の私から見ても多分可愛い。
ファイルを手に取ると、すぐさま少女が手を伸ばす。
その瞬間、フードが外れてしまった。


?「あっ」


文字通りの観衆目線。
すぐ近くでデュエルしてた人も、コーヒーを飲んでた人も、皆、目が向いてしまう。
それもそのはず、だってそこにいたのは…

 

f:id:hadukimiu:20191004232955p:plain「葉月……美羽ちゃん……?」


ついさっきまで話題に上がっていた、葉月美羽だったのだから。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

フードが外れて素顔を表したアイドルは、ばつが悪そうな顔をした。

 

葉月「あー、ばれちゃったか…」

 

ざわつく店内。

このまま彼女の周りに人がごった返したら大変なことになる。

そう思った私はすぐ様、彼女の手を引き、全力ダッシュで休憩室まで引っ張り込んだ。

 

葉月「ちょっと!おねぇちゃん!きゃっ!」

 

そのまま壁際の椅子に座らせる。

 

f:id:hadukimiu:20191004232943p:plain「ハァハァ、…っ、ふぅー。」

葉月「ハッ、ハッ…お、おねぇちゃん…怖いよ…?」

 

赤く紅潮した肌、潤んだ瞳、乱れた呼吸。

これがアイドルの可愛さ…。

 

ダメだ、これ、下手すると同性の私ですら間違いに踏み切ってしまう。

 

バッと通った衝動に、理性が轢き殺されかねない。

 

いくらお店の混乱を避けるためとは言え、アイドル、ましてや女子小学生を休憩室に連れ込むってこれ相当やばいよね…?

 

f:id:hadukimiu:20191004232955p:plain「ご、ごめんね…?あのままだと葉月ちゃんも私も大変なことになっちゃうから…」

葉月「う、うん…。」

f:id:hadukimiu:20191004232920p:plain「すぅ、何してるの…?」

 

後ろからかかるシフォンの声。

ここでちょっと客観的に考えてみよう。

 

 

休憩室はさっきまで私と葉月ちゃんの二人きり。

 

葉月ちゃんは、今壁際の椅子に荒い息で座っている。

 

そして私はそんな葉月ちゃんを壁ドンするかのように目の前で膝をついて同じく荒い息をしていて。

 

そしてシフォンは私の後ろからそれを見ているわけで。

 

f:id:hadukimiu:20191004232943p:plain「あ、あのですね、シフォン…これにはわけがありまして…」

f:id:hadukimiu:20191004232922p:plain「言い逃れは聞きません。辞世の句は用意できてますか?(๑╹◡╹)

f:id:hadukimiu:20191004232953p:plain「ち、ちがうんですぅーーーーー!!!」

 

その日、店内には私の悲鳴が響き渡った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

街角のカードショップで対戦中に声を掛けられたのが切っ掛け。

軽い気持ちで受けたオーディションに合格した。

 

―――降り注ぐ金紙、観客の歓声。

 

ただ歌って踊るだけじゃつまらない、

これからはデュエルもできるアイドルが必要だなんて言われた。

 

―――海原のように広がるサイリウム。

―――流れるBGM 。

 

何度も何度も踊りの練習をした。

歌の練習もした。

 

―――カラーライトに照らされたスモークが吹き上がる。

―――左側に手を振り、右側に投げキッス。

 

その数だけ、デッキを何度も回した。

その数だけ、相手を倒してきた。

 

―――背後に駆け出して、ウェーブを観客と作る。

―――終わりのない熱狂。

 

彼らの望みはそれだけ、

それだけなんだ、

だから、

 

 

これからも、それを続けなきゃ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

葉月「えっと、葉月美羽、11才、小学五年生です。アイドルしてます。身長141㎝です。好きなものはシロップたっぷりのパフェで、嫌いなものは椎茸とイカとタコです。」

 

アイドル特有のプロフィールまでしっかり伝える自己紹介。

シフォンの折檻から数分後、解放された私は葉月ちゃんとともにシフォンから出されたミルクティーを飲んでいた。
まぁ、焦った私も悪かったと思いますよ?

でも、必死こいてお店を守ろうとした結果なんです。
あの折檻はとてもじゃないけど言い表せる絵面じゃなかったなぁ…。

 

f:id:hadukimiu:20191004232920p:plain「確かに、お店は大騒ぎになるとは思いますけど、あの様では勘違いをされても文句は言えませんわ。」

f:id:hadukimiu:20191004232955p:plain「う、うぅ…。」

葉月「お、おねぇちゃんは悪くないよ…?私のことを守ろうとしてくれたんだもんね…?」

 

純真な瞳に見つめられると、すごく恥ずかしくなる。
いや一瞬ちょっと理性が飛びかけたけど、そうです、守りたかったんです、この天使を。

 

f:id:hadukimiu:20191004232946p:plain「葉月ちゃん、好きな科目は?」

葉月「うーん、理科かな…?バニラアイス作るの楽しかったよ!」

 

授業でバニラアイスって作るんだ…、どんな先生だろう。

 

f:id:hadukimiu:20191004232946p:plain「苦手な科目は?」

葉月「国語…かなぁ?」

 

わかる、クラムボンとか全くわかんなかった。

 

f:id:hadukimiu:20191004232946p:plain「好きなお洋服は?」

葉月「黒系のフリルのスカート!どう?似合ってるでしょ?」

f:id:hadukimiu:20191004232943p:plain「すごく似合ってるー、髪色が映えて綺麗に見えるよー。」

 

クルクルと回る葉月ちゃん、やばい、可愛い。

 

葉月「ヘッドフォンもオシャレでつけてるんだよー?」

 

首元のヘッドフォンに両手を当てて、ウィンク。

あっ、無理、死ぬ。

 

f:id:hadukimiu:20191004232920p:plain「すっかりメロメロですわね…。」

 

だって可愛いんだもん、こんな可愛い小学生、そうそういないよ…こんな妹が欲しかった…。


そんなことを考えていると、後ろからかかった声が葉月ちゃんに質問した。

 

f:id:hadukimiu:20191004233007p:plain「ところで、こんな街角のカフェに一体どういう用向きであなたが来たのか聞きたいんだけど。」

f:id:hadukimiu:20191004232949p:plain「えっ?」

f:id:hadukimiu:20191004233012p:plain「こう聞いたほうがいいのかな。デュエルの腕もトップクラスのアイドルがなんでこんなお店に来たのって。」

f:id:hadukimiu:20191004232949p:plain「オーナー・・・?」

 

部屋に入ってくるまい。
その発言を聞いてやっと意味を理解した。


そうだ、こんなに腕の良いプレイヤーならカードは相応に集まっているだろうし、購入手段も今の時世ならネットを使えばいい。


デュエルの相手も真っ向から実力勝負をできるLive☆Duelがあるのなら不足はしていないし、他の番組でもデュエルには何度か出ているから相手が足りないなんてことはない。

 

態々こんな混乱を招くリスクを抱えてまでやる必要がないのだ。

 

それをいくら小学生とはいえ、一企業のアイドルがやるのか。


そうでないなら、何かしら『目的』がある、と、まいは言っている。

 

葉月「あの…店長さん?」

f:id:hadukimiu:20191004233007p:plain「変装するならフードだけなんて甘い変装の仕方をする必要もないでしょ?」

f:id:hadukimiu:20191004232949p:plain「オーナー、いくらなんでも考えすぎです!」

f:id:hadukimiu:20191004233007p:plain「そうね、考えすぎかもしれないね。

……普通なら。」

 

葉月ちゃんの方を見やる。

 

 

ゾッとした。

 

 

表情が恐ろしかったとかではない。

鬼の形相をしていたわけでもない。

ただ、小学生がするような表情ではなかった。

 

無表情。

 

20秒前のコロコロと変わる可愛らしい顔はどこにもない。

 

人形

生気すら希薄

否、皆無

 

その無表情から数秒の後、元のアイドルの顔をして、彼女はさらりと答えた。

 

葉月「はい、まいろぐカフェさんに、公式ファンクラブ店舗になってもらいに来ました。」

 

静まり返る休憩室。

え、ファンクラブ…?

ファンクラブって、グループや特定のアイドルの応援チームみたいなものだよね?

 

f:id:hadukimiu:20191004232920p:plain「ファンクラブ?」

怪訝な顔をするシフォン。

葉月「はい、ファンクラブです。

……ただし、私関連のグッズと使用カード、番組出演者以外の関連商品の取り置きをやめてもらいます。

もちろん、その他のカードゲームや携帯ゲームも禁止になります。」

 

にこやかに言い切る葉月ちゃん。

この条件を飲んだ場合、いつもの雑談も、携帯ゲームではしゃぐこともできなくなる。

まいろぐカフェは間違いなく変わってしまうだろう。

狂っている。

今の内容といい、先ほどの無表情といい、明らかに狂っている。

 

f:id:hadukimiu:20191004231051p:plain「…その提案、拒否する権利も当然あるわよね?」

葉月「勿論、あるよ?その後については知らないけど。」

 

首を縦に振ればお店の乗っ取り。

首を横にすれば大手アイドルの店舗協賛を拒否したことになり、全国のファンが一気に敵に回ることを意味する。

もっと言ってしまえば、彼女がここにきた時点である意味詰んでいたのだ。

 

ましてや、先ほどの私の行動もネットに拡散されれば一撃で終了になりかねない。

 

全身に悪寒が走る。

 

無くなる。

歪められる。

大事な場所が。

大事なものが。

大事な時間が。

変わり果てる。

わたしのせいで。

怖い。

どうしようもなく怖い。

震えが止まらない。

涙をこらえるのも精一杯だ。

 

次の瞬間、まいの声が聞こえた。

 

f:id:hadukimiu:20191004233012p:plain「そうね、普通なら売上も上がるでしょうし、あなたが今後失敗することもまずないかも。

利益で考えるなら、きっと首を縦に振るべきなんでしょうけど。

でも、残念だけど、はいどうぞ、とは言えないわ。」

葉月「ふーん、そっか。答えはノー?」

f:id:hadukimiu:20191005000117p:plain「て、言えたら楽なんだけどね……、うちのすぅが迷惑かけちゃったし。」

 

うっ……ほ、ホントにごめんなさい…。

 

f:id:hadukimiu:20191004232954p:plain「だから、こうしましょう。」

葉月「えっ?」

 

f:id:hadukimiu:20191004232954p:plain「デュエルで決着をつけましょう?葉月ちゃん、あなたの土俵で。」

 

デュエル…?

な、なにをいってるの…オーナー…?

 

f:id:hadukimiu:20191004232954p:plain「せっかくだから大々的にステージを取りたいな。駅近くから来てるなら見てると思うけど、駅前のステージ広場なら場所としても十分よね?」

 

その意味を理解したのか、葉月ちゃんは少し興味深そうな表情をした。

 

葉月「おねぇさん、面白いこと言うね。

でもいいの?勝つ自信、本当に、ある?」

f:id:hadukimiu:20191004233007p:plain「もちろん、やるからには本気よ?」

葉月「そうなんだ…そっか…。うん、いいよ?

ステージや警備人員、機材はこっちでお願いして全部用意してあげる。私が勝ったらお店がファンクラブになる、負けたら取りやめにしてあげるのと…そうだね、何か一個お願いを聞いてあげる!どうかな?」

f:id:hadukimiu:20191004233012p:plain「ええ、それで大丈夫よ。」

 

なんの気なしにあっさりとまいの提案を認める葉月ちゃん。

その後、スマホを取り出し事務所に電話をかける。

電話が終わったらしく。すくっと立ち上がる。

葉月「五日後、だって。」

くるりと一回転した後、フードをかぶり直して出て行こうとする。

 

f:id:hadukimiu:20191004233012p:plain「葉月ちゃん」

呼び止めるオーナー。

葉月「なぁに?」

f:id:hadukimiu:20191004233007p:plain「葉月ちゃんにとって、やりたいことって何?アイドル?」

 

ピタリと止まる彼女。

それから少し黙って、振り返らずにこう言った。

 

葉月「……それって必要なこと?」

f:id:hadukimiu:20191004233012p:plain「………。」

 

くるっと振り返って、

 

葉月「じゃあ、五日後にまた会いましょう!バイバイ、おねぇちゃん達!」 

 

そしてそのままお店を出て行った。

 

f:id:hadukimiu:20191004233007p:plain「大丈夫?すぅ。」

f:id:hadukimiu:20191004232955p:plain「まい……。ごめんなさい、わたしのせいで…。」

f:id:hadukimiu:20191004233007p:plain「むしろお店の中で堂々と公言されなかっただけマシよ。その点については寧ろすぅの行動が功を奏したわ。」

f:id:hadukimiu:20191004232949p:plain「でも、まい…その、相手はアイドルデュエリストよ…?それに…負けたら…っ」

 

抱きしめられる。

優しく。

 

f:id:hadukimiu:20191004232954p:plain「心配しないで、私はそんな簡単に負けないよ。」

 

不安でしょうがないのはオーナーのはずなのに。

それをおくびにも出さない彼女を見てて、自分が情けなくなる。

 

まいログカフェに迫った危機。

その結末は、五日後のステージの上で決することになった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翌日。

店のドアを開ける。

 

f:id:hadukimiu:20191004232949p:plain「おはようございます。」

f:id:hadukimiu:20191004233007p:plain「あ、おはよー、すぅ。落ち着いた?」

f:id:hadukimiu:20191004232946p:plain「落ち着いたよ………。で、なにやってんのよ、まい。」

 

流れるBGM。ふさふさの扇子。

くねくねとした踊り。

今にも天井にミラーボールすら幻覚でみえそう。

 

f:id:hadukimiu:20191004233010p:plain「なにって、ステージ上がるんだから、踊れるようにしないと。ついにわたしもアイドルデビューよ!」

f:id:hadukimiu:20191004232953p:plain「ち•が•う•で•しょ!?ちがうでしょーが!!」

 

しかも何その踊り!?

それバブル期のパラパラってやつだよね?

ボディコン着て、お立ち台の上に登ってやる踊りでしょ?

なんでその発想に至るのよ!?

 

f:id:hadukimiu:20191004231051p:plain「いつもそんなものですわ、すぅ。真面目に不真面目、なんてどこかの小学生向けの本にあったけど、そのくらいがまいにはちょうどあっているのですわ。おかしな話ですけど。」

f:id:hadukimiu:20191004232955p:plain「そんなの某狐男と取り巻きの猪兄弟だけで十分でしょ。」

客「まいさん聞きましたよ。アイドルと真っ向勝負ですって?気合い入ってますね。」

 

すでにネットには四日後の試合が広告されており、注目の的になっている。

むしろ小学生の提案で本当に対決が実現することが驚きだけど。

書き込みを見てると、他でも半ば強制的にファンクラブにされた店もあるらしく、真っ向から勝負をするのは私たちのお店が初めてらしい。

何せ相手はトップアイドル。

それを街場のTCGカフェが迎え撃つんだもの。

注目が集まるのも無理はないのかな。

 

f:id:hadukimiu:20191004232920p:plain「……それに、あの子、あのままじゃきっと救われないですもの。」

「?シフォン、何か言った?」

「なんでもありませんわ。」

 

そうして、大勝負が迫っているにも関わらず平常運転のまま、ついに、その日を迎えるのだった。

 


アイドルパニック②に続く